再開発の概要|場所・事業者・スケジュール
神宮外苑地区第一種市街地再開発事業は、東京都新宿区・港区にまたがり、約17.5haにおよぶ広大な敷地で進行する都内最大級の再開発プロジェクトです。
本事業では、老朽化が進む既存のスポーツ施設(明治神宮野球場、秩父宮ラグビー場、明治神宮第二球場、明治神宮ゴルフ練習場の各施設を含む一帯が対象となります。)を更新しつつ、オフィス・商業・宿泊・文化交流など複数の都市機能を集約。緑と都市機能が調和した“次世代の神宮外苑”が誕生する計画です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 新宿区霞ヶ丘町、港区北青山一丁目・二丁目 |
| 最寄駅 | 外苑前駅・信濃町駅ほか |
| 施行者 | 三井不動産、明治神宮、都市再生機構、伊藤忠商事 |
| 区域面積 | 約17.5ha |
| 総延床面積 | 約565,000㎡ |
| 総事業費 | 約3,490億円 |
| 着工予定 | 2024年度 |
| 竣工予定 | 2036年度 |
| 用途 | スポーツ施設、事務所、宿泊、商業、文化施設、広場等 |
開発される施設の内容・規模
神宮外苑地区の再開発では、6つの主要施設を軸に構成されます。

A-7地区(新・ラグビー場棟)
- 地上7階・地下1階、高さ約55m
- 延床:約76,700㎡
- 用途:ラグビー場、商業、文化交流、駐車場など
A-8-c地区(複合棟A)
- 地上40階・地下2階、高さ約185m
- 延床:約127,300㎡
- 用途:オフィス、商業、駐車場
A-8-a地区(複合棟B)
- 地上18階・地下1階、高さ約80m
- 延床:約29,100㎡
- 用途:ホテル、室内競技場、駐車場
A-9地区(事務所棟)
- 地上38階・地下5階、高さ約190m
- 延床:約213,000㎡
- 用途:オフィス、商業、駐車場
A-10地区(野球場・ホテル棟)
- 地上14階・地下1階、高さ約60m
- 延床:約115,700㎡
- 用途:野球場、ホテル、駐車場
A-10地区(文化交流施設)
- 地上1階(5棟合計)、高さ約6m
- 延床:約2,000㎡
- 用途:事務所、展示、店舗など
現地の様子をレポート(2025年5月時点)
明治神宮野球場と秩父宮ラグビー場は現在も通常通り営業を続けており、野球やラグビーの試合、コンサートなどが開催されています。しかし、再開発工事の影響で周辺の交通規制や騒音が発生しており、来場者には事前の情報確認が推奨されています。また再開発区域内では大型クレーンや重機による作業が進められており、工事関係者や見学者の姿が多く見られます。特に休日には再開発に関心を持つ市民や観光客が訪れ、変化していく神宮外苑の様子を記録している光景が見られます。
一方で、青山通りや外苑西通りなどの主要道路では工事車両の出入りが頻繁に行われており、平日の朝夕には一時的な交通渋滞が発生することもあります。近隣の商業施設や飲食店では、工事関係者の利用が増加している一方で、一般来訪者の減少を懸念する声も聞かれます。
地域・駅の変化と今後の影響
青山・表参道エリア 高層ホテル棟の建設により、青山・表参道エリアのスカイラインが大きく変化します。新しいランドマークとして地域の象徴となる可能性がある一方で、景観への影響を懸念する声も上がっています。
商業・業務機能の集積 再開発により新たな商業施設や業務機能が集積されることで、青山エリアの商業・ビジネス拠点としての魅力がさらに向上することが期待されています。神宮外苑の再開発は、都市と緑の共存だけでなく、以下のような多方面での波及効果が期待されます。
- 都市機能の更新:国際イベントに対応可能なラグビー場や野球場を整備
- ビジネス強化:都心部に新たなオフィスフロアを創出
- 観光・宿泊の拡充:国内外からの来訪者を受け入れる高級ホテルも複数計画
- 文化と交流の創出:展示・学び・集う機能を備えた文化施設が整備
- 緑地と調和:既存のイチョウ並木や景観に配慮した再設計で都市美観を保全

また建設期間中の約13年間で数万人規模の雇用創出が予想されており、地域経済への波及効果が期待されています。完成後も施設運営やホテル業務などで継続的な雇用機会が生まれる見込みです。そして、新しいスポーツ施設と文化交流施設により、東京の観光・文化拠点としての神宮外苑の魅力が向上し、国内外からの来訪者増加が期待されています。
まとめ|この再開発の注目点
総事業費3,490億円、工期約13年という日本最大級のスポーツ施設再開発プロジェクトであり、次世代のスポーツ観戦体験を提供する最新施設が誕生します。事業者は宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センターといった公的機関と、三井不動産、伊藤忠商事という民間企業が連携し、球場やラグビー場が使用できなくなる期間を最小限に抑えるため、段階的な建設・移転を実施し、スポーツ文化の継続性を重視した計画となっています。
- 特徴まとめ:「スポーツ×文化×ビジネスの融合」「延床56万㎡超の都心複合開発」
- 完成予定:2036年度(全体竣工)
- 注目ユーザー層:企業、観光客、スポーツファン、地域住民
- 今後の予定:2024年度から順次着工。2029年頃に主要施設の一部供用開始も視野
単なるスポーツ施設の建て替えではなく、ホテル、商業施設、文化交流施設を一体化した多機能複合開発により、新しい都市空間を創出します。また再開発に伴う樹木の問題に対して、「樹木の更なる保全と新たなみどりを創る取組み」を公表し、環境保全と都市開発の両立を図る取り組みを進めています。
開発の必要性や環境への影響について多様な意見が交わされており、都市開発における合意形成のあり方を問う重要な事例となっています。
神宮外苑再開発は、東京の新たなランドマークとして、また日本のスポーツ文化の発展に寄与する重要なプロジェクトとして、今後約13年間にわたって注目を集め続けることでしょう。完成時には、スポーツ、文化、商業、観光が融合した新しい都市空間が誕生することが期待されています。
神宮外苑再開発 樹木伐採問題の時系列まとめ
■ 2022年3月
東京都が「神宮外苑地区第一種市街地再開発事業」の計画を発表。
計画には野球場・ラグビー場の建て替え、超高層ビルの建設とともに、約1,000本の樹木伐採・移植が含まれており、市民団体や自然保護団体から懸念の声が上がり始める。
■ 2022年6月
国際記念物遺跡会議(ICOMOS)日本委員会が、景観・緑地への影響を懸念し、**「再考を求める声明」**を発表。
明治神宮外苑が持つ歴史的・文化的価値の保全が問題視される。
■ 2022年9月
文化人・著名人による反対の声が高まる。
坂本龍一氏や村上春樹氏らが、再開発の見直しを求める意見表明。全国的なメディアでも報道が広がり、一般市民の関心も急上昇。
■ 2023年3月
東京都が計画の一部を修正。
緑地面積の増加、伐採本数の抑制などが打ち出されるが、反対団体は「本質的な見直しには至っていない」として再検討を要請。
■ 2023年9月
再開発をめぐる意見がメディアで頻繁に取り上げられる。
公共放送や報道番組にて賛成・反対双方の議論が交わされ、市民参加や情報公開の透明性に対しても注目が集まる。
■ 2024年1月
再開発の詳細設計が進み、着工が2024年度に予定されていることが正式に明らかになる。
一方で、市民団体による署名活動・オンライン請願は続行中。
■ 2025年5月現在
明治神宮第二球場の解体が本格化。仮囲いと重機が設置され、再開発事業が物理的に動き出す。
伐採予定地の一部では樹木調査や立ち入り制限が進む中、反対派の現地アクションも継続されており、計画は引き続き賛否を呼んでいる。
行政資料
【関連資料】
・神宮外苑地区におけるまちづくりについて(2022/5/19)
・「神宮外苑地区第一種市街地再開発事業」施行認可のお知らせ(2023/2/17)
・三井不動産「神宮外苑地区まちづくり」の取り組みについて(2024/7/5)
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