再開発の背景|千代田区が打ち出したマンション規制の中身とは?
東京都心の中でも、皇居・霞が関・永田町を擁する「特別な区」千代田区。
2025年、同区が打ち出した新方針は、住居系マンションの新築に対する規制強化という極めて注目度の高い内容でした。
この方針は、居住機能を拡大してきたこれまでのトレンドとは逆行し、住宅マーケットを縮小させかねないとも捉えうる発表で業界がざわつきました。
千代田区マンション転売規制、投機けん制 「所有者住まず」7割も(日本経済新聞)

発表の背景は昨今の不動産マーケットの加熱具合を見てでしょう。外国人投資家の参入も目立ち、マンション相場は高騰、本当に住処を求めている実需(ファミリー層等)が住宅を購入できない状況になりつつあります。
背景にある課題|実需vs投資
2020年代後半、東京湾岸・都心エリアでは晴海フラッグやリビオタワー品川をはじめとした坪単価500万〜700万円超の超高額タワーマンションが次々と登場。一次取得者(実需)だけでなく、投資目的の買いが加熱したことで価格は右肩上がりを続けてきました。
しかし、香港など中国本土、シンガポールなどからの富裕層マネー流入が続き、都心タワーを“セーフアセット”として買い漁る動きが加速、日本の金利がゼロに近く、「割安で安定した資産」として評価されたため、実需を無視した価格形成が進んだのではないかという懸念がありました。
仮に現在の不動産価格のマーケットが海外投資家によって形成されていた場合、為替変動や出国規制緩和により外資マネーが急に引くリスクや中国の資本規制強化の影響をかなり受けることが予想されます。
またインフレ傾向であるものの、実際に居住したい層(共働きファミリーやDINKs)にとって、新築価格が現実離れしている水準に近づいているため、マンションが住むための場所ではなく、「投資対象の箱物」として扱われているのではないか、という懸念あります。
千代田区の打ち手の意図は
今回の千代田区の発表では、「マンションの転売を5年間禁止する」という特約の導入を不動産協会へ要請したと記載されています。
この要請に対して、不動産大手が加盟する不動産協会は取引の自由が制限されるのではと警戒を強めるとともに、消費者側からは不動産価格が下落するのでは、、という懸念も散見されました。

現在の不動産中古市場を規制しているのは短期譲渡による課税などあまり多くはありません。よって現在の不動産マーケットに乗じた不動産の投機が起こっているのは事実であろうと思います。
千代田区の上記文書からも読み取れるように、目指すところは「投機目的での不動産転売を抑制したい」というところです。
マンションとは本来投資商品ではなく、人が住むための場所ですから、日本にいない外国人による購入により自国の市民が住む場所がなくなってしまうのでは、国家として機能不全に陥ってしまいます。
「居住するためにマンションを購入する」という目的を達成するための1歩として千代田区の発表は評価できるものであると考えます。一方で、突然の規制強化はマーケットを破壊しかねないため、慎重になる必要があるとも思います。
いずれにしても今回の発表で、行政としても現在の不動産マーケットに課題感を持っていることは確かです。主に税制度などに今後大きな変更がある可能性もありますから、注視していきたい話題でありました。
直近リリース
・千代田区マンション転売規制、投機けん制 「所有者住まず」7割も(2025/7/30)
・東京都千代田区長、マンション転売規制「今後も手を緩めず」(2025/7/30)
行政資料
・千代田区内の投機目的でのマンション取引等に関する要請について(令和7年7月18日配信)
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